エザワ セイコ   EZAWA Seiko
  江澤 聖子
   所属   国立音楽大学  演奏・創作学科 鍵盤楽器専修
   国立音楽大学大学院  音楽研究科 器楽専攻
   国立音楽大学大学院  音楽研究科 音楽研究専攻 器楽研究領域
   職種   教授
研究期間 2011/05/14~2011/05/14
研究課題 ピアノソナタの形式と詩的表現について ―― ベートーヴェン、シューマン、リストの作品を手がかりに
実施形態 個人研究
概要 機関研究費<国立音楽大学>特別支給:ベートーヴェンはハイドンやモーツァルトらの古典的諸様式を受け継ぎながら、それらを極限まで発展させ、あたかも新しい様式を創造するがごとき新機軸を様々に試みた。作品27-1「幻想風ソナタ」では自由で斬新な形式、革新的な単一楽章への憧憬が具現され、幻想性豊かで深遠な内面世界が展開されている。シューマンは「幻想曲」において、柔軟なフレーズと和声の拡張によってロマン主義的な幻想の飛翔を古典的な形式美の中に探求されたものである。リストの「ソナタ」では主題動機の反復、変容、縮節技法による全体統一の実現、単一楽章内でのソナタ形式、また同時に多楽章形式の要素をも備えた多重構造を持つ大ソナタを完成させた。このソナタが単一楽章の非常にユニークな楽曲構造を見せていると同時に、リスト独自の「形式」へのこだわりを示していることも明らかである。3つの作品を巡ることで、優れた構成力と崇高な精神を表現したベートーヴェンを敬慕しながらも、ロマン派ピアノ音楽を代表するシューマンとリストが、優れた精神と創造性で新しいピアノ音楽の世界を音楽的内容と形式の両面においてどう築いたかを見てみたい。