イトウ サトミ
ITO Satomi
伊藤 仁美 所属 国立音楽大学 音楽文化教育学科 幼児音楽教育専攻 国立音楽大学大学院 音楽研究科 音楽教育学専攻 職種 准教授 |
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言語種別 | 日本語 |
発行・発表の年月 | 2023/03/11 |
形態種別 | 学位論文(博士) |
査読 | 査読あり |
標題 | 幼稚園教育要領領域「音楽リズム」の成立と展開に関する研究
-リトミックとの関係を中心に- |
執筆形態 | 単著(単独) |
掲載誌名 | 聖徳大学大学院音楽文化研究科 博士論文 |
掲載区分 | 国内 |
総ページ数 | 216 |
概要 | 研究目的は幼稚園教育要領領域における「音楽リズム」の歴史とリトミックがどのような関わりをもっていたのかを明らかにすることである。この時代、日本の幼児音楽教育へのリトミック導入に広く影響を及ぼした人物に小林宗作と板野平がいる。両者はリトミックによる幼児のリズム教育方法を模索し普及に尽力していた。そこで本研究では領域「音楽リズム」とリトミックの関係を領域「音楽リズム」の歴史と変遷とリトミックを展開した小林と板野の功績、の2つの視点からリトミックがこの時代の「音楽リズム」の指導のあり方に影響を与えたことを明らかにした。第1章ではリトミック教育の受容過程について検証した上で小林の教育観について検証をおこなった。第2章では幼児のリズム教育としてリトミックがどのように展開されていったのかを検討した。昭和37年、国立音楽大学に教育音楽学科第Ⅱ類が設立されたことでリトミックが普及、展開していった。第3章では領域「音楽リズム」の成立と変遷を考察した。昭和31年告示の幼稚園教育要領では「動きのリズムで表現する」という項目が設定された。昭和39年の改訂版ではのびのびと楽しみながら表現する点が加わった。歩く・走る等の活動を集団で共有する観点が加わったことを明らかにした。第4章では領域「音楽リズム」に対するリトミックの影響を受容期、展開期、定着期、の3期に分けて検証した。受容期には『指導書領域音楽リズム』が刊行し、領域「音楽リズム」が成立した。展開期には国立音楽大学教育音楽学科第Ⅱ類が開設された。さらに『幼児と保育』における掲載、リトミック教育映画の制作と上映、NHKラジオ音楽教室におけるリトミックの発信等、板野らは様々な媒体を通じてリトミックを広めていった。定着期には領域「音楽リズム」が幼児教育現場に一層浸透した。『幼児保育百年の歩み』における「小林によってダルクローズのリトミックが我が国に導入されて全国幼稚園界に浸透していった」という記載からも見てとれる。以上の考察から領域「音楽リズム」とリトミックが互いに影響し合い、そこには深い相関関係があったと結論付けた。リトミックは「音楽リズム」の時代社会的に浸透し、幼児教育現場、保育者養成、音楽教室等で幅広く普及した。「音楽リズム」が成立し定着したことによってリトミックの普及が促され、また「音楽リズム」の指導もリトミックから大きな影響を受けた。 |