アベ ヒロシ   ABE Hiroshi
  安部 博史
   所属   国立音楽大学  音楽文化教育学科 幼児音楽教育専攻
   国立音楽大学大学院  音楽研究科 音楽研究専攻 音楽教育学研究領域
   国立音楽大学大学院  音楽研究科 音楽教育学専攻
   職種   准教授
言語種別 日本語
発行・発表の年月 2015
形態種別 研究論文(学術雑誌)
査読 査読あり
標題 インターフェロンによる精神症状発現の予測:気質・性格特性の関与
執筆形態 共著(共同)
掲載誌名 精神医学
掲載区分国内
出版社・発行元 (株)医学書院
巻・号・頁 57(6),431-441頁
著者・共著者 直野慶子,安部博史,武田龍一郎,岩切久芳,蓮池悟,永田賢治,下田和哉,石田康
概要 インターフェロン(IFN)は,身体的な副作用のほか,時として不眠・抑うつ状態・躁状態・幻覚妄想・意識障害などの精神症状を生じ得ることが報告され,コンサルテーション・リエゾン精神医学の領域で重要な課題となっている。IFN療法が一般化するに伴い,臨床上問題化する精神症状は,自殺などの重要な問題につながることもある。IFNによる精神症状の発現には,患者の精神疾患の既往歴が密接に関連していることが報告されているが,既往歴のない患者におけるリスク要因の検討は十分ではない。そこで,精神疾患の既往歴・家族歴,年齢,性別に加え,気質・性格検査の下位尺度得点を説明変数,IFNによる精神症状の発現を目的変数とするロジスティック回帰分析を行い,精神症状の発現に関連する因子の検討を行った。2009年6月29日〜2014年6月30日までの調査期間に,宮崎大学医学部附属病院第二内科の医師の判断でIFN治療の導入が予定されている患者を対象とし,Temperament and Character Inventory(TCI)を用いて患者の気質・性格を検査した。合計114症例の患者のうち,IFNによる精神症状が出現した症例は30症例であり,症状の重複を含む内訳は不眠が17例,気分障害が8例,神経症症状が4例,妄想症が2例であり,そのうち精神科へ入院を要した患者は3例であった。IFNによる精神症状の出現と深く関連する因子は,精神疾患の既往歴(オッズ比6.632,95%信頼区間2.088-21.064,p<.005)とTCIにおける「損害回避」の尺度得点(オッズ比1.204,95%信頼区間1.049-1.380,p<0.01)であった。さらに,Receiver Operating-Characteristic(ROC)曲線を用いた検討により,「損害回避」のカットオフ値は15.5点(20点満点)であり,精神疾患の既往歴だけでなく,TCIにおける「損害回避」尺度の得点が高いことでIFNによる精神症状の出現を予測し得ることが示唆された。(著者抄録)
DOI 10.11477/mf.1405204928
ISSN 0488-1281/1882-126X